式根島旅行

研究室の同期の男2女2と、で伊豆諸島の一つ”式根島”という所に行って来た、3泊4日(船内一泊)で。。。のはずであったのだがとんでもない惨事に見舞われ予定変更を余儀なくされてしまう旅行となった(後述)。
海に潜ってお魚さんたちを見てみようっていうのが今回の旅行の目的であったので、素人の私はわりと緊張していた。潜るといってもシュノーケルとフィンのみ装着の簡単なもので誰でもできるものである。最初水中で呼吸するっていうのが慣れないので凄く肺が苦しかった。それでも30分もやってると呼吸や水抜きも慣れてきて海底の魚を観察する余裕も出てくるものである。初日は1時間ちょっとやったところで体も冷えてきたのでタイムアップ。温泉に浸かってから民宿に戻って夕飯、ビールが美味しい。部屋に戻ってからもまだまだ飲むぜ!って、みなさんうとうとじゃないですか。。。しょうがない一人で飲んでよう。元気が有り余ってしょうがない、長谷川君を起こして露天風呂に誘う。海岸に臨むその露天は空に視界を遮るものは何も無くまさにパノラマ温泉。星星星、天の川もキレイに見える、うお流れ星!もうシュンシュン飛んでるの。こういうの見たときにホント来て良かったと思うなあ。
次の日も同じように過ごす。海にも耳抜きを覚えてもっと深い所に潜れるようになった。夜にはお土産も買って、酒もたらふく飲み飲み、さあ明日は朝本土に向けて出発さ!このとき台風14号が勢力を拡大しながら俄かに接近中であった。。。
その日も朝から非常に天気が良く、暑い一日になりそうだった。午前9時のフェリーに乗るため港に着くと何やら騒がしい。「本日、さるびあ丸は条件付運行となります!」しきりに放送で訴えている、どうやら台風接近により波が結構たっているようだ。フェリーが30分遅れで到着。ホッ、良かった〜、早く乗せろぅ。港からタラップを船に突き出し始めた。その時!大波が来て大きく傾くさるびあちゃん!船にタラップが渡せない。波も次から次へとやってきてらちが空かなそうである。するとなんということでしょう!タラップが港に引き戻され始めたではありませんか。その刹那!「本日さるびあ丸は港に着くことが出来ません。さるびあ丸は欠航です!」一斉に荷物を抱えた帰省客がざわめきはじめる。島を離れていくサルビィ。
え!?、おいおい匠よ、なんとか着岸してみせろよ!
無理なものは無理である。泣く泣く荷物を持ってまた民宿に戻ってきてしまった。もう一泊かぁ・・・、!?一泊どころじゃないぜ!明日はもっとひどいはずだぞ、明後日もその次も!そのときの絶望ときたら無かったな、こんな小さい島で何して過ごせというのか。じっとしていてもしょうがないので散歩に出かける。天気はいいのにな〜。なんか人少ない、昨日は人で溢れ返っていたのに。それはどうやら島の漁船が臨時便の形でフェリーの発着できる島か伊豆の下田までお金を取って運んでくれるというもので、フェリーが去った後に出たらしい。そんなの知らないし!まあくさっててもしょうがないってことで島をぶらつくことに。地元の人たちがニヤニヤしてる。「帰れなかったんだ?明日も無理だよ」なんて・・・。もうこのときには完全に開き直ってて、あと何泊でもする覚悟はできていた。
翌日、海にもでれないしやることもないので部屋でこたえてちょうだいなんかをだらだら観てた。すると民宿のおばちゃんが部屋を訪ねてきた。「今日一隻漁船でるみたいだよ。乗るんだったら支度して。」誠か!予期せぬ吉報に興奮、帰れる!こんなつまらん島ともおさらばさ!いやいやとっても素敵な所だったよ、楽しい思い出できましたっての。港につくと20人ほどの我々と同じく残留孤児たちが漁船を待っていた。この日はやはり昨日よりも波高し、大丈夫なのか!?しかしこのスリリングな状況を楽しんでいる自分がいた。小さい漁船なもので船内はすし詰め状態、なんとか我々は船室に入ることができたが甲板にも人が溢れていた。船はすぐに出港した。ゴロゴロとエンジン音を響かせながら荒ぶる海をかきわけていく。予想した通りだ、激しく船は上下左右を繰り返した。狭い船室ではなかなか身動きがとることもできない、暑い、じっとりとあぶら汗が滲む。これは本域できつい!狭い中で必死に安息ポジションを探し横たわることができた。これで乗り切るんだ。出航してから30分くらいだろうか、長谷川がガサガサしているので見てみると口元にビニール袋がFIT ON!あわてて反対方向を向いて歌う。しかしあちらでもこちらでも袋っちゃってる人たちが・・・うぉー!それら現実から逃げるように頭を抱え込んで更に楽しいソングを。外に出てる人たちは雨風にさらされてさらに悲惨な状況だったみたいだ。しかし自分を守ることで精一杯だった、すいません皆さん。
この地獄とも戦うこと約2時間、ようやく決着の時が来た。「陸だ!陸が見えたぞー!」ホント助かったと思った。上陸したときの安堵と来たらなかったなあ、生きてるって素晴らしい。そして無事に下田から電車に乗って東京を目指した。電車という乗り物のありがたみがわかったよ。車内ではみんなぐったりしていた。海潜ったことや露天風呂で眺めた星、美味しかったビール、漁船なんかのことを回想した。大変な目にあったけど全部合わせて良い思い出になったなぁなんてしみじみしながら帰ってきた。おかえり、無事で良かったぁ!大学に帰るとIタンが満面の笑みで迎えてくれた。ごめんね心配かけて。
その後、久々に戻った喜びで浮かれたまま自転車でラーメン食べに行ったら、財布落とした。旅行のことが全部頭から吹っ飛んだ。